以前お話した田中穂光先生宅で統一会をしていた時の事です。霊視の順番が私になったときある霊能者の方が、
「あなたの背後でとても心配して、あなたを見守っている方がいます。」
と言ってその人の特徴を話され、
「その方はあなたのおばあさんではありませんか。ひょっとしてあなたは、そのおばあさんに育てられましたか?」
と私に尋ねられました。私はその時感動のような恐怖のような不思議な感情におそわれ一瞬呼吸が止まりました。下宿生活をするため田舎から大阪に出てきて以来、私は誰にも祖母のことを話したことがなく、統一会に参加している方にも打ち明けたことはありませんでした。
私は小学校高学年から高校卒業するまで家庭の事情で祖母の家に引き取られ、ずっと祖母と二人で暮らしてきました。祖母は高齢にもかかわらず毎日畑や田んぼで働き、疲れていても私の食事を作り、洗濯などをしてくれていました。祖母が最も心配していたのは、私が人の道に外れたことをするのではないかということでした。
ある夏の暑い日に祖母は子宮癌で倒れ、私と妻は休暇を利用し田舎に帰り、二人で介護をして自宅で最期を看取ることができました。祖母は夜中に痛みで眠れないにも関わらず、看護をしている私達を気遣い、自分のことはかまわないから早く眠るよう私達の心配をしていました。祖母の呼吸が止まるのを見届けた時、最期を看取れて本当に良かったと思いました。
もし祖母が本当に私の背後で見守っていてくれているなら、私が今人生の収穫期に至ったにもかかわらず、相変わらず煩悩に振り回されているのを見て嘆き悲しんでいることでしょう。
銀(しろかね)も 金(くがね)も玉も 何せむに
勝れる宝 子に及(し)かめやも